金型と熱伝導の関係

2021-08-12 | Metal Info

MTA9100 とハイサイクル金型材

金型と熱伝導

■プラスチック成形の金型は、樹脂を素早く冷却するために熱伝導・熱拡散が大変重要です。金型なので硬度が必要なことから、主に鉄系合金が金型の材料として使われていますが、鉄系合金熱伝導が低いのが弱点です。

主な鉄系合金の特性

   製品             硬度       熱伝導率(W/m・k) 

  • 炭素鋼      S50C            HB116‐150                39.8
  • SUS       SUS420-J2    HRC50           21.6
  •          SUS440C    HRC28⇒58以上                24.3
  • 工具鋼      SKD61      HB229⇒HRC53以下   30.5
  • プリハードン鋼  NAK55         HRC40          38.9
  • マルエージング鋼           HRC52            21.3

※数値はすべてインターネットサイトからの情報

■熱伝導が高く硬度もある素材を使うことで1回の成形時間(サイクルタイム)を縮めることができるので、生産効率が上がります。このようなハイサイクル金型材として有名なのがベリリウム銅です。

   製品      硬度    熱伝導率(W/m・k)

ベリリウム銅   HRC40     105                                                                                    Cu-Be-Co

MTA合金との代替性

MTA9100はベリリウム銅の代替材として一部金型用(入れ子)に適しています。元々MTA合金の開発は、欧州でベリリウム銅が健康問題から一時製造制限されたのがきっかけでした。MTA9100マルチプレートはいわゆる高ベリリウム銅に比べ硬度がまだ足りませんが、入れ子(コマ)やチルベントとして熱伝導が必要な部分にはコストダウンで最適です。

MTA9100マルチプレート 性能

密度:7.9 硬度:HV230 熱膨張係数:11.2⁻⁶  熱伝導率:74W/m・k 導電率18%IACS

お電話はこちら