ベリリウム銅を金型材で使用するメリットとデメリット

2025-07-18 | Metal Info

ベリリウム銅(BeCu)は、銅合金の中でも特に高性能な素材として知られており、優れた物理的特性と加工性を併せ持っています。そのため、射出成形やプレス加工などの金型材料として広く使用されています。以下に、そのメリットとデメリットを詳しく解説します。

ベリリウム銅を金型材で使用するメリット・デメリット

メリット

1. サイクルタイムの短縮

ベリリウム銅の最大の特長の一つが、非常に高い熱伝導性です。一般的な金型鋼材(例えばSKD61など)と比べて、熱伝導性が約5〜10倍に達することがあります。これにより成形時の冷却効率が向上し、サイクルタイムの短縮が可能となります。結果的に、生産性が向上し、量産コストの削減にもつながります。

2.優れた耐摩耗性機械的強度

熱処理を施したベリリウム銅は、硬度がHRC38〜45程度まで達することができ、優れた耐摩耗性機械的強度を発揮します。このため、高圧や繰り返し荷重のかかる成形作業においても、型寿命が長く安定した成形品質を保つことが可能です。

3. 非磁性と耐腐食性

ベリリウム銅は非磁性であり、磁気を嫌う精密機器や電子部品の成形にも適しています。また、腐食に強い特性もあるため、湿気や水分が関与する環境下でも安定して使用できます。

4. 成形品の離型性の向上

金型表面の熱分布が均一になるため、成形品の反りやヒケが抑えられ、離型性も向上します。特に複雑形状や薄肉部品の成形において、この特性が大いに役立ちます。

デメリット

1. 価格が高い

ベリリウム銅は、一般的な金型鋼に比べて材料コストが高いという大きな欠点があります。希少金属であるベリリウムを含むため、価格変動も大きく、コスト面では不利になります。これにより、小ロットや試作では採用が難しいケースもあります。

2. 加工性の難しさと注意点

硬度が高く、切削加工には高精度の工具が必要です。また、研磨や放電加工も行えますが、鋼材に比べてやや手間がかかります。さらに、ベリリウムは加工中に微細な粉塵が発生すると有害であり、適切な換気と防塵対策が必要です。

3. 構造部品としての制限

ベリリウム銅は弾性が高いため、型全体を構成するような大規模・構造的な用途には向きません。熱膨張係数が高いため、熱応力による寸法変化が起きやすく、精密金型では問題となる場合があります。そのため、部分的に挿入材として使用されることが多いです。

4. 溶接・接合が難しい

ベリリウム銅は溶接やロウ付けが難しく、補修や再加工に制限があります。これにより、長期的なメンテナンスや改造の自由度が低い点も注意が必要です。

まとめ

項目内容
主なメリット高熱伝導性、高強度、非磁性、耐腐食性、離型性の良さ
主なデメリット高コスト、加工時の安全対策が必要、大型部品には不向き、溶接性に難あり

ベリリウム銅は、その高性能な特性から、高精度・高品質が求められる金型部品やコアインサートに非常に適しています。特に熱の制御が重要な場面では、他の金型材料にはない利点を発揮します。しかし、その反面、材料費や加工コスト、安全面での配慮が必要なため、使用部位や目的に応じた適切な設計・選定が不可欠です。

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