Metal Trivia

金属豆知識

高ベリリウム銅

【高ベリリウム銅とは】

銅合金の中で最も高い強度をもった合金。非磁性で火花を発しない性質を持つため、危険環境下で使用される防爆工具としても使用される。熱処理により硬度・導電率等の調質が可能。加工時の粉塵に毒性を有するため、取扱いには注意が必要。

【適用分野】

金型、コネクター、リレー、スイッチ、プローブピン、端子、導電ばね、防爆工具、シャンク、楽器、スピーカーの振動板、ゴルフクラブ

【MTA合金との代替性】

銅合金の中では最強の部類に入るベリリウム銅ですが、生産時のベリリウムの健康被害が理由で使用を控える企業が増えており、入手も困難になってきています。MTA合金では高ベリリウム銅の代替材としてMTA7300(Fe-30Cu)をベースにしたMTA-FeX2がございます。硬度はHRC24-28、熱伝導率80-95W/m・kあり、エジソンハードやカニボロンめっきで表面硬度は65HRCまで出ますので、金型材としてお使い頂けます。

【化学組成】

Cu Be Ni+Co Ni+Co+Fe
Rest 1.8 – 2.0 0.2以上 0.6以下

【機械特性】

導電率(%IACS) 熱伝導率(W/m・K) 線膨張係数(x10⁻⁶/K) 縦弾性率(GPa) 密度(g/cm³) 引張強度(MPa) 伸び(%) 硬度(HV)
C1720 16 – 23 83 – 130 17.8 127 8.2 410 – 1300 3 – 35 210 – 280

低ベリリウム銅

【低ベリリウム銅とは】

ベリリウム銅合金の中でも、ベリリウム含有量が低いため、硬度・強度では劣るが、熱伝導と導電性に優れた合金。黄銅に近い色合いの高ベリに対し、低ベリの外見は銅に近い。

【適用分野】

コネクター、リレー、スイッチ、端子、導電ばね、チルベント、抵抗溶接電極、チップベース、軸受

【MTA合金との代替性】

銅合金の中では最強の部類に入るベリリウム銅ですが、生産時のベリリウムの健康被害が理由で使用を控える企業が増えており、入手も困難になってきています。MTA合金では低ベリリウム銅の代替材としてMTA2080(Cu-20Fe)の板材、線材を開発中です。

【化学組成】

Cu Be Ni Co
Rest 0.2 – 0.6 1.4 – 2.2 0.3

【機械特性】

導電率(%IACS) 熱伝導率(W/m・K) 線膨張係数(x10⁻⁶/K) 縦弾性率(GPa) 密度(g/cm³) 引張強度(MPa) 伸び(%) 硬度(HV)
C1750 55 167 – 260 17.6 132 8.7 700 – 900 10 90 – 160

銅タングステン

【銅タングステンとは】

タングステン粉末をポーラス形状に焼結し、溶解した銅を浸透させた素材。耐摩耗性に優れるが、繰り返しの使用で導電性が低下する傾向にある。また電極材料としては高価な部類に入る。

【適用分野】

抵抗溶接電極、ヒートシンク、スイッチ、電気接点、形彫放電電極

【MTA合金との代替性】

非常に硬度があり電極などで重宝されている銅タングステンですが、ネックなのはその価格です。MTA7030をベースにした電極材の開発を進めています。

【化学組成】

W Cu
Rest 10 – 30

【機械特性】

導電率(%IACS) 熱伝導率(W/m・K) 線膨張係数(x10⁻⁶/K) 縦弾性率(GPa) 密度(g/cm³) 引張強度(MPa) 伸び(%) 硬度(HV)
銅タングステン 30 – 60 150 – 220 6 – 9 250 – 330 14 – 17 150 – 180

リン青銅

【リン青銅とは】

リンを添加する事で脱酸された青銅。強度・加工性・バネ性に優れ、導電率も高いため、電子部品や機械部品に使用される事が多い。C5240は特にバネ性に優れるため、バネ用リン青銅と呼ばれる。

【適用分野】

リレー端子、コネクター、スイッチ、リードフレーム、軸受、ボルト、ナット、歯車、導電ばね、楽器

【MTA合金との代替性】

リン青銅の代替材としては導電率が必要な分野ではMTA2080(20Fe:Cu)を、バネ材などの強度が必要な分野ではMTA7300(Fe-30Cu)やMTA5050(Cu-50Fe)をご提案しております。

【化学組成】

Cu Sn P
Rest 4.0 – 10.0 0.15 – 0.20

【機械特性】

導電率(%IACS) 熱伝導率(W/m・K) 線膨張係数(x10⁻⁶/K) 縦弾性率(GPa) 密度(g/cm³) 引張強度(MPa) 伸び(%) 硬度(HV)
C5210 12 50 18.4 110 8.7 590 – 1000 11.0 200 – 240
C5240 10 50 18.4 100 8.7 650 – 1200 11.0 200 – 240

洋白

【洋白とは】

銅・亜鉛・ニッケルからなる銅合金。柔軟性・加工性・耐食性に優れ、500円玉等の素材としても有名。ニッケルが増すほどばね性が、亜鉛が増すほど強度が、銅が増すほど展延性が上がる。

【適用分野】

スイッチ、コネクター、リレー、接点、シールドケース、耐食ばね、コイン、食器、楽器

【MTA合金との代替性】

MTA合金では洋白やキュプロニッケル並みの導電率と耐食性を兼ね備えた合金の開発を進めています。

【化学組成】

Cu Zn Ni
56.0 – 64.0 18.0 – 26.0 18.0

【機械特性】

導電率(%IACS) 熱伝導率(W/m・K) 線膨張係数(x10⁻⁶/K) 縦弾性率(GPa) 密度(g/cm³) 引張強度(MPa) 伸び(%) 硬度(HV)
C7521 6 33 16.2 125 8.7 375 – 540 20min 120 – 180
C7701 5 29 16.7 125 8.7 540 – 860 4 – 8 150 – 270

コルソン銅

【コルソン銅とは】

銅・ニッケル・シリコンからなる特殊銅合金。強度・導電性・熱伝導に優れる。ニッケル・シリコンの量により強度や伸び等が変わる。有害性のあるベリリウム銅の代替として使用される事もある。

【適用分野】

リードフレーム、コネクター、ソケット, ブレーカー、リレー、スイッチ、端子、導電ばね

【化学組成】

Cu Ni Co Si
Rest 1.5 – 3.8 1.1 – 1.9 0.3 – 0.8

【機械特性】

導電率(%IACS) 熱伝導率(W/m・K) 線膨張係数(x10⁻⁶/K) 縦弾性率(GPa) 密度(g/cm³) 引張強度(MPa) 伸び(%) 硬度(HV)
C7025 45 214 17.3 132 8.8 620 – 860 11 – 16 180 – 200
C7035 50 200 17.6 120 8.8 650 – 1100 2 – 8 250 – 300

クロム銅

【クロム銅とは】

その名の通りクロムを混ぜる事で、硬度・強度・耐熱性・耐腐食性を向上させた銅合金。熱伝導や導電性にも優れている。抵抗溶接の電極として多く使用されるが、繰り返しの使用で導電率が低下する傾向にある。

【適用分野】

リードフレーム、スイッチ、コネクター、抵抗溶接電極、バックバー、ブッシュ、軸受、プーリー

 

【化学組成】

Cu Cr
Rest 0.7 – 1.4

【機械特性】

導電率(%IACS) 熱伝導率(W/m・K) 線膨張係数(x10⁻⁶/K) 縦弾性率(GPa) 密度(g/cm³) 引張強度(MPa) 伸び(%) 硬度(HV)
クロム銅 35 – 80 150 – 350 17 120 8.9 300 – 750 1 – 15 100 – 200

ジルコニウム銅

【ジルコニウム銅とは】

ジルコニウムを微量混入する事で、強度・耐熱性を向上させた析出硬化系の銅合金。前述のクロム銅と同じジャンルとなり、ジルコニウム入りのクロム銅等もある。

【適用分野】

リードフレーム、スイッチ、コネクター、抵抗溶接電極、バックバー、ブッシュ、軸受、プーリー

【化学組成】

Cu Zr
Rest 0.1

【機械特性】

導電率(%IACS) 熱伝導率(W/m・K) 線膨張係数(x10⁻⁶/K) 縦弾性率(GPa) 密度(g/cm³) 引張強度(MPa) 伸び(%) 硬度(HV)
ジルコニウム銅 80 – 90 300 – 350 17.7 120 8.9 350 – 600 2 – 10 75 – 130

アルミナ分散強化銅

【アルミナ分散強化銅とは】

高温環境下でも耐えうる高い耐熱性を持ち、導電率も優れている。高強度と高導電性を併せ持つ素材。

【適用分野】

リードフレーム、ヒートシンク、抵抗溶接電極、パンタグラフ、電気接点

【化学組成】

Cu Al₂O₃
Rest 0.3 – 1

【機械特性】

導電率(%IACS) 熱伝導率(W/m・K) 線膨張係数(x10⁻⁶/K) 縦弾性率(GPa) 密度(g/cm³) 引張強度(MPa) 伸び(%) 硬度(HV)
アルミナ分散強化銅 80 350 18.1 120 8.8 550 10 150 – 180

黄銅

【黄銅とは】

亜鉛が20%以上含まれる銅合金。真鍮・ブラスとも。銅と亜鉛の比率により外見や機械特性が変化する。一般的に亜鉛の割合が増える程硬度が増すが、脆くもなるため亜鉛の割合は最大で45%程度。展延性に優れるため、機械部品としてよく使用される。

【適用分野】

コンセント、コネクター、端子、配管、継手、楽器、放電電極

【化学組成】

Cu Pb Fe Zn
59.0 – 96.0 0.05以下 0.05以下 Rest

【機械特性】

導電率(%IACS) 熱伝導率(W/m・K) 線膨張係数(x10⁻⁶/K) 縦弾性率(GPa) 密度(g/cm³) 引張強度(MPa) 伸び(%) 硬度(HV)
C2600 28 121 20.3 110 8.5 275 – 620 10 – 40 75 – 200
C2801 28 121 20.3 103 8.4 325 – 470 15 – 40 85 – 160

銅合金比較一覧表

合金名 CDA 導電率(%IACS) 熱伝導率(W/m・K) 線膨張係数(x10⁻⁶/K) 縦弾性率(GPa) 密度(g/cm³) 引張強度(MPa) 伸び(%) 硬度(HV)
ジルコニウム銅 80 – 90 300 – 350 17.7 120 8.9 350 – 600 2 – 10 75 – 130
クロム銅 35 – 80 150 – 350 17 120 8.9 300 – 750 1 – 15 100 – 200
アルミナ分散強化銅 80 350 18.1 120 8.8 550 10 150 – 180
鉄銅 MTA0397 68.0 500 – 730
MTA0595 62.7 572 – 943
低ベリリウム銅 C1750 55 167 – 260 17.6 132 8.7 700 – 900 10 210 – 280
銅鉄 C19400 60 240 17.4 121 8.9 373 – 573 2 – 12 115 – 165
コルソン合金 C7025 45 214 17.3 132 8.8 620 – 860 11 – 16 180 – 200
C7035 50 200 17.6 120 8.8 650 – 1100 2 – 8 250 – 300
銅タングステン 30 – 60 150 – 220 6 – 9 250 – 330 14 – 17 150 – 180
黄銅 C2801 28 121 20.3 103 8.4 325 – 470 15 – 40 85 – 160
高ベリリウム銅 C1720 16 – 23 83 – 130 17.8 127 8.2 410 – 1300 3 – 35 90 – 160
鉄銅 MTA9100 16.3 74.0 11.7 197.0 7.9 600 – 2860 1 – 15 240 – 260
チタン銅 C1990 12 54 18.6 127 8.7 735 – 1080 5 – 10 280
リン青銅 C5210 12 50 18.4 110 8.7 590 – 1000 11.0 200 – 240
C5240 10 50 18.4 100 8.7 650 – 1200 11.0 200 – 240
洋白 C7521 6 33 16.2 125 8.7 375 – 540 20min 120 – 180
C7701 5 29 16.7 125 8.7 540 – 860 4 – 8 150 – 270
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