銅相場はどこまで上昇するのか 巨大鉱山で事故
銅の高値が止まりません。
10月21日の日本経済新聞では「2026年の非鉄金属の需給は国際機関の見通しによると銅は3年ぶりに供給不足に転じる一方、ニッケルや鉛は一段と供給過剰感が強まる」とし「足元の非鉄相場では投機的な資金が主導する銅の独歩高が続いているが、需給面からも裏付けられそうだ。」との記事が掲載されました。
つまり投機的な面で高値相場だった銅が需要面からも取り合いの相を為し、今後の高値が予想されるというものです。
ロンドン金属取引所(LME)で9日には一時1トン1万1000ドルと2024年5月に付けた過去最高値に迫る勢いで上昇しており、日本でも10月に入り一時1730円をつけるなど、2000円目指してまっしぐらです。投機目的の金の高騰とは違い工業界で使用不可欠な資源だけに、国内各メーカーの大きな悲鳴が聞こえてきそうです。
さて、その銅の大きな需要面に、各国で競うように開発が進められている人工知能(AI)があります。あの便利なAIが今後ますます普及していけばいくほどデータセンターなどで銅や銅合金が大量に必要になっていきます。それは銅が電気を運ぶ一番の安定して素材だからです。
しかしこれはEVや風力発電など地球温暖化ならぬ地球電動化が急ピッチで進む世界中のおいて、そもそも供給不足だった銅がより一層取り合いとなることを意味すします。
銅の値上げ分は製造費に乗せられ、結局消費者である我々に商品値上げとして跳ね返ってくることから、この話題はとても他人ごとで片づけられる問題ではありません。
すでに大きな影響が出ているのが金型産業です。例えば金型で使用されるベリリウム銅は98%以上が純銅からできていますので、銅の値上げ幅が直に影響します。情報筋によれば年内にキロ単価30~50%もの値上げが予想されており、円安とのダブルパンチで金型関連メーカーへの影響が心配されます。
しかもここにきて世界最大規模の鉱山で事故が発生したというニュースも飛び込んで来ました。資源に敏感な米国政府は銅を重要鉱物に指定するとの観測もあり、今年いっぱい銅の相場から目が離せない状況が続きそうです。
さて、MTA合金はそんな銅からの脱却を目指す企業にとって救世主となるのは間違いありません。何せ安価な鉄を高価な銅合金に変えてしまうという魔法のような合金だからです。人類が8000年もの間成し得なかった鉄と銅の合金が世界を救う日が間もなくやってきます。